21項目検査とその利用法について

検査項目

#1 前眼部、透光体、眼底検査

#2 角膜曲率半径の検査

#3 裸眼、または従来のメガネによる遠方水平斜位検査

#4 静的検影法

#5 動的検影法(50センチにて)

#6 動的検影法(1Mにて)

#7 自覚屈折検査(#7M=単眼最高視力を得られる最高プラス度数)

        (#7A=調節バランス後の両眼最高視力を得られる最高プラス度数)

       (#7B=調節バランス後の両眼で1.0の視力を得られる最高プラス度数)

#8 遠方水平眼位

#9、#10 遠方内寄せ検査(#9=ボケ値、#10=分離、回復値)

#11 遠方外寄せ検査(ボケはなく、分離、回復値)

#12A 遠方上下斜位検査

#12B(Ductions) 遠方上下開散力検査(Infra:下方開散 Supra:上方開散)

#13A 裸眼又は従来のメガネによる近方水平斜位検査

#13B 近方水平斜位検査およびAC/A比の検査

#14A クロスシリンダーによる単眼の調節ラグ検査

#14B クロスシリンダーによる両眼の調節ラグ検査

#15A #14Aによる近方水平眼位検査

#15B #14Bによる近方水平眼位検査

#16A,B 近方内寄せ検査(#16A:ボケ値 #16B:分離、回復値)

#17A,B 近方外寄せ検査(#17A:ボケ値 #17B:分離、回復値)

#18A 近方上下斜位検査

#18B(Ductions) 近方上下開散力検査(Infra:下方開散 Supra:上方開散)

#19A マイナス球面レンズ付加法による調節力検査

#19B プッシュアップ法による調節力検査

#20 マイナス球面レンズによる近方実性相対性調節検査

#21 プラス球面レンズによる近方虚性相対性調節検査

 以上です。#3と#13Aを除き、#8以降の検査は#7Aの値からスタートしていきます。それぞれにおいてモーガンによる期待値がすでに表されており、それを基にしたモーガン分析、OEP分析やグラフ分析をしたりします。ただし一般的なオプトメトリストはこの中から問診や予備検査(カバーテストやNPC:調節近点テスト)等によって、必要と感じた検査をしていきます。すべて、フォロプターを使用しての検査になります。また、#7においておこなう乱視検査もファンダイアルよりもJ.C.C.:ジャクソン.クロス.シリンダーテストの方が精度が高く、視力の出にくい0.2程度の検査でも仮枠で手持ちのクロスシリンダーを使っておこなうのが良いとされてますし、調節介入の心配がある場合は両眼開放による屈折検査(被検査眼を遮へいしない)など、多くのテクニックを使います。ですから、あまりオートレフは過信しないで、レチノスコープを重要視します。

 屈折検査の進め方、データの収集方法、分析の仕方、屈折矯正の在り方など多くにわたって眼科医院とオプトメトリークリニックは違っています。これはアメリカにおいても同じことが言えます。当然といえば当然ですが、眼科医師がもっも必要としていることが、#7M(単眼においての最高視力の出るもっともプラス側の度数=近視の場合なら最高視力の出る最弱度数)であり、最高視力がどこまで出るかが治療の進行状態をみるうえでは重要だからではないかと思います。

 これに対しオプトメトリークリニックでは、現存する視機能を維持し、かつ快適にすごすことを目的としています。健常眼が多いこともあり、眼病があっても(無論、治療の過程でも必要があればと言う意味です)その時点での最高状態を提供することを考えます。ですから最高機能である両眼視が重要になり、両眼視の検査が発達しました。

 順に検査の手順、解読、利用方法について説明していきます。

 まず、#7Aです。これがしっかり出せないことには何ともなりません。しかし、それにおいて未熟な眼鏡店も多いのも事実です。

 オートレフをあまり信用をしすぎるのは、良くないのはご存知の通りです。しかし、白内障でレチがうまく入らない場合など、けっこう手助けになります。いろんな機種によって癖がありますが、一般的に言って、乱視軸については、かなり精度は良いようです。

[検査の手順」

@#4の測定値 オートレフ値を検査のスタート値とする場合は、一般的にオーバーマイナスで記録されることが多いので、+0.50D程度付加した値から始めるべきでしょう。
しかし、できればレチノスコープを使って、見たほうが良いです。遠視を-2.00位の近視と判断したオートのデータを、私は幾度となく見てます。オートの値は、参考程度にして下さい。
そしてその視力を確認後、単眼ずつの球面調整を行ない最高視力の得られる最もプラスよりの度数を求めて出発点度数とするか、レッド:グリーンテストを単眼で行い、同じかグリーンが勝った状態にしてジャクソン・クロス・シリンダーテストを行います。(フォロプター(ビジョンテスター)がない場合は、仮枠と手持ちの式のJ・C・Cでもできますが乱視軸の選出はせいぜい10度単位まででしょう)

 

A患者の最高視力よりやや大き目でクロスシリンダーを装用して見分けられる文字視標、または点視表。文字視表は使うJ・C・Cによって違いますが、±0.50のJ・C・Cでは0.7〜8の視表が適当です。 

B乱視軸の決定(J・C・Cの検査手順はまず先に乱視軸から検査します) 

矯正乱視軸(図は90度の場合です)

1)非測定眼を遮蔽し、クロスシリンダーの回転軸が#4の矯正乱視軸と重なるように合わせます。

2)以下の説明をした後、クロスシリンダーを反転させます。

「今から2つの見え方を比べていただきます。良く見える方を答えてくたさい。同じ場合は同じでいいですよ。では始めます。一番の見え方、二番の見え方」

3)フォロプターの矯正乱視軸を良く見えると答えたほうのマイナス軸(赤点)側に10度回転します。乱視度数が強ければ移動量を少なく、弱ければ多くした方が比較しやすい。

4)クロスシリンダーの回転軸を矯正乱視軸と重ねます。

5)クロスシリンダーを反転する前と後の見え方がほぽ同じになるまで繰り返します。

C乱視度数の決定 矯正乱視軸

1)クロスシリンダーのマイナス軸(赤点)またはプラス軸(白点)を矯正乱視軸に合わせます。

2)クロスシリンダーを反転しながら一番と二番でどちらが良く見えるかを、たずねます。

3)クロスシリンダーのマイナス軸(赤点)を矯正乱視軸に重ねた時の方が良く見える場合は、矯正乱視度数を-0.25D加えます。クロスシリンダーのプラス軸(白点)を矯正乱視軸に重ねたときのほうが良く見える場含は、矯正乱視度数を-0.25D減らします。

4)クロスシリンダーを反転する前と後の見え方がほぼ同じになるまで繰り返します。マイナスシリンダーを0.50D加えるごとに球面レンズを+0.25D加えます。これは最小錯乱円を常に網膜上の位置に保つためです。

5)クロスシリンダーを除去し、球面調整を行ない最高視力の得られる最もプラス側の球面度数を求めます。

クロスシリンダーによる乱視有無の確認

#4、乱視表で乱視が検出されない場合

@セッティング・球面度数最高視力の得られる最もプラスよりの度数をセットします

視標は患者の最高視力より、やや大き目でクロスシリンダーを装用して見分けられる文字視標、または点詳視標を使用します。

AフォロプターにC-0.25Dをセット

B矯正乱視軸とクロスシリンダー度数軸を合わせます

C180度、45度、90度、135度においてクロスシリンダーを反転し、どちらが良く見えるかたずねます。全ての方向でプラス軸(白)が見やすい場合は乱視は無いと判断。

注意すること

乱視度数を0.50D以上変化させた場合、乱視軸を再検査。

最小錯乱円を常に網膜上の位置に保つ。

クロスシリンダーをあてると、視標はややぼけますので、比較して良く見える或はきれいに見える方を選ぶように説明する。

反転の速度を適切に保つ。患者が視標を明瞭に見ることができ、且、適当に調節が働いて最小錯乱円が網膜上に像を結ぶための時間を与えます。反応の遅い高齢者等には十分な時間(2〜3秒くらいは見せる)を必要とします。

矯正視力0.6以下の場合に、クロスシリンダー±0.25Dでの検査は不向きですができないわけではありません。でも、できれば仮枠と手持ちクロスシリンダー±0.50または±0.75Dを用いて行なったほうが良いでしょう。

不可能な場合は他の乱視検査で決定すると良いです。ただ、高齢者ほどファンダイアルより、J.C.C.の方が精度が高いようです。

「矯正視力と適切なクロスシリンダー度数」

1.2〜1.0=±0.12D  0.8〜0.7=±0.25D

0.5〜0.4=±0.50D  0.3〜0.2=±1.00D

クロスシリンダーテストの後、球面調整の後、両眼調節バランスをとります。そして、両眼視において最高視力の出る最もプラス側の度数を#7Aとします。特にここでの球面調整はじっくりおこなって下さい。気をつけないと、すぐに過矯正になりかねません。
また両眼バランスについてはしっかりとって下さい。
簡単な、確認法としては動的検影法が簡単です。バランスがうまくとれていれば、左右の対光は同じストリークとなるはずです。

こうして出した#7Aを基に、他の検査をしていきます。

#8 遠方水平眼位検査 期待値 1exo±1

  #7Aを使って、プリズム分離法やマドックス法、偏光板を使ったもの(ポラテスト)等によって測定。以後の検査との兼合いから、できればプリズム分離法が良いと思います。

  <プリズム分離法>
視表は最高視力に等しい視表かやや大きい縦一列文字視表。

  1) フォロプターに測定眼にロータリープリズムの目盛り0を12時方向にセット

  2) 他眼に6PのBDをセットし、融像を除去

  3) 視表が2つ見えることを確認後、縦一列に並ぶように水平Pを付加。縦一列になったところが水平眼位。必ず両方向から測定し、中間値を記録。

  注意点:視表を常に注視させること。ぼーと見ていたのでは、眼位は安定しません。

#9・10 遠方内寄せ検査(#9=ボケ、#10=分離、回復)

    期待値 #9(ボケ)=9±2 #10=(分離)19±4/(回復)10±2
  視表はプリズム分離法と同じ

  1) 両眼ともロータリープリズムを12時方向にセット

  2) 視表が、ボケたとき、2つに見えたときに答えるよう指示し、両眼同時にBOプリズムを付加。1秒間に両眼で3Pくらいのスピードでおこなう。ボケ、分離を記録。

  3) 分離後視表が1つに見えたとき答えるように指示。分離した時点からゆっくりBOプリズムを減らし、1つに見えた回復点を記録。

  ともかく、一生懸命に視表を単一視できるように指示しておくこと。(以下のプリズム付加の検査全てにおいて)
 ボケ点がない場合は、×印を記入。回復点がBIの場合は−符号をつける。

#11 遠方外寄せ検査(分離、回復) 期待値 (分離)7±2/(回復)4±1

   手順は、#9,10と同じ。付加するプリズムがBIとなる。

  回復がBOの時は-符号をつける。#11の検査ではボケ点は存在しません。調節休止の状態(遠方視)なので、調節反応は起きてないはずだからです。もし、ボケ点があった場合は、おおよそ0.75D以上の近視の過矯正か遠視の未矯正です。少々の過矯正ではボケないんです。

#12A 遠方上下斜位検査

   #8と条件は同じで、視表は横一列。

  1) 左眼に視表が2つに見えるまでBIプリズムを付加=目安は10P。右眼に垂直方向のプリズムを計測できるように、ロータリープリズムをセット。

  2) 左右の視表が水平になったところを記録。

   右眼に2PBDで水平⇒R2Hyper又はL2hypo

    右眼に2PBUで水平⇒L2Hyper又はR2hypo

#12B(Duction)遠方上下開散力検査(Infra=下方開散、Sufra=上方開散)

  #12Aと条件は同じ。利目にロータリープリズムを水平方向にセット。手順は#11と同じ要領を垂直でおこなう。

  1) 視表が1つに見えていることを確認後、BD(上方開散)を付加し、分離点を記録。

  2) 同様に回復値を記録。

  3) その後、BI(下方開散)の付加で同じように記録。

      RSufra 4/3

       R Infra 2/1(L SUfra 2/1)

   このテストは、上下斜位の裏付けとなる大切な検査。

#13B 近方水平斜位検査およびAC/A比(Gradient)の検査 

    期待値(#13B=3exo±3、AC/A=-4±1)

   #8と同じ要領で、40センチでおこなう。AC/A比は#13Bのテストを、+1.00加入した状態で再度おこない、#13Bとの差を記録。

#14Aクロスシリンダーによる単眼の調節ラグ検査 期待値:+1.00±0.25

 #7Aに+2.00を付加し、視表(グリルターゲット)がやっと見えるくらいの半暗室にておこなう。 フォロプターに内蔵のクロスシリンダーをセット。無い場合はC.C.の−軸(赤点)を12時方向にセット。

  1) 非測定眼を遮へい

  2) 視表の縦線と横線の濃さを比較し、濃いほうを答えてもらう

  3) 期待する回答(縦が濃い)ならば、次へ進む。横が濃いとか不確かな場合は中止

  4) 濃さが同じか又は横に変わるまで、-0.25ずつ付加。初めて同じ濃さになったところか、同じが無くすぐに横となった場合はその1つ前の度数を記録。

  5) 他眼も同様におこなう

  記録は#7Aとの差(ネット値)を書くようにすると良い。面倒かもしれないが、用は慣れだ。VDT作業などの多い人、調節の介入が疑われる場合では+0.25程度とラグの低いことが多いし、近視の過矯正の場合マイナスになることがある。
 左右のデータの差は0.25程度までで、それ以上の場合#7Aのバランスが不正確か、#7A自体が不正確。

#14Bクロスシリンダーによる両眼の調節ラグ検査 期待値:+0.50±0.25

    #14Aの値から始める。条件は#14Aと同じ

  1) 縦線と横線を比較

  2) 濃さが同じになるまで、-0.25ずつ付加

   同じと答えたところの一つ前、もしくは同じが無く縦と初めに答えた度数を記録

他覚的な調節ラグの検査として以下の方法もある

 1) #5 Dynamic Retinoscopy (動的レチ) 期待値:+1.25±0.25

 フォロプターに測定距離分の球面度数(測定距離50センチ)を含んだ#4の中和レンズをもちい、被検者が文字を読める明るさで0.3くらいの文字カードを固視。中和するまで両眼同時にレンズを付加。水平のみで良い。

 2) Book Retinoscopy (読み物検影法) 期待値:±0.25(ほとんど中和する)

 実際に使っている教科書又は0.6くらいの読み物などを使って、その上からレチを振ってラグを見る。水平のみで良い。

#15A,B (#14A,Bのデータを通しての水平斜位検査)

  #15A:#14Aのすぐ後に、クロスシリンダーも視表も半暗室もそのままに斜位検査をします。#15B:#14Bの値を使い、クロスシリンダーを取り、視表は0.5〜0.7程度を使い明室にて斜位検査をします。

  40センチにおける調節と輻輳の関係は1:6の比率です。本来、40センチで調節が最大限に抑制されれば#14Aの値は+2.50(臨床的には+1.00)となるはずです。しかし、調節性輻輳の不足による外斜位がある場合、#14Aの値を修正する必要があります。

     例 #14A +2.00D  #15A 6exo 

 の場合、6:1のAC/Aに基づき#14Aを修正し6pの外斜位に相当する+1.00を#14Aから引き、修正後の#14Aは+1.00となります。#15Aが正位や内斜位の場合、調節性輻輳の不足が無いので#14Aを修正する必要はありません。

 #14Aの値が、マイナスになってしまう場合や、プラスでも小さく、#15Aによる修正量のほうが多く、修正後の#14Aがマイナスになってしまう状態を、Minus Projectionといいます。このような状態ではプラスレンズによる調節の抑制効果は期待できないことと、近視の発生段階にあり得るといわれています。

    #15Bにおいても外斜位が出た場合、9:1の比率で#14Bを修正します。

#16A,B 近方内寄せ検査(#16A:ボケ、#16B:分離、回復)

     期待値(#16A:17±3、#16B:分離21±3/回復11±4)
  #7Aのデータを使い、明室において近方最高視力に相当する視表(普通1.0)を使います。

  1) 両眼ともにロータリープリズムを12時方向にセット

  2) 視表が1つに見えていることを確認後、視表がボケたとき、2つに見えたときを答えるよう指示し、両眼同時にBOプリズムをゆっくりと付加。ボケ点、分離点を記録。

  3) 視表が再度1つに戻ったときを答えてもらいます。分離した点からゆっくりBOプリズムを減らします。回復点を記録。

  ボケ点がない場合は、×を付けます。回復点がBIまでいく場合は、(-)符号を前に付けます。  例)16/20/14 のように記載。(プリズムは両眼合計値)

#17A,B 近方外寄せ検査 (#17A:ボケ、#17B:分離、回復)

     期待値(#17A:13±2、#17B:分離21±2/回復13±3)
#16と同じ要領でおこないます。付加するプリズムがBIプリズムになります。
#16,#17の検査の注意事項は、患者に一生懸命一つに見えているように努力させることです。

#18A 近方上下斜位検査

    #12Aと同じ要領で近方でおこないます。

#18B(Ductions) 近方上下開散力検査

    #12Bと同じ要領で近方でおこないます。視表は1.0。

#19A マイナス球面レンズ付加法による調節検査

    期待値(年齢による調節力±2.00D)
#7Aを使い、明室検査。視表は0.6くらいの物語タイプの視表を33センチにセット。

  1) 視表が見えることを確認後、ボケて読めない状態になったら答えるよう指示。

  2) 両眼同時に「持続する最初のボケ」が生じるまでマイナスレンズを付加。

  3) 視表の文字が全てボケたら答えてもらい、#7Aとの差(ネット値)を記録。

#19B プッシュアップ法による調節力検査

   #7Aを使い、明室検査。視表は1.0もしくは遠方最高矯正視力に相当する近方視表、片目、両目の順で測定。

  1)40センチの距離から視表を近づけ、「完全なボケ」を感じたところまでの距離を記録。

  距離をディオプターに換算。

#20 マイナス球面レンズによる近方実性相対調節力検査

   期待値(-2.37±0.62D)

  #7A又は老視眼の場合は近用度数を使い、明室検査をします。視表は横一列の一般的には1.0の視力表を使います。

  1) 視表が鮮明に見えていることを確認後、視表がボケて読めなくなったら合図をするように指示し、マイナスレンズを徐々に付加していきます。

  2) 文字がボケたと合図があったら、もう一度良く見てもらい、それでもボケているかを確認します。

  3) 再度見えてくるようならば、さらにマイナスレンズを付加します。そして、完全にボケた度数を記録。

  4) 今度は0.25ずつ戻していき、再び文字が読めるようになった度数を記録。

  ネット値で記録。

#21 プラス球面レンズによる近方虚性相対調節力検査

 期待値(+2.00±0.25D)
#20と手順は同じ。#21ではプラスレンズを付加していく。

#21M 片眼による近方虚性相対調節力検査 
#21と違い、片眼ずつおこない、記録も片眼ずつ記録。

 #7Aでの調節バランスがうまくできているかの確認にもなる。

 以上が検査手順ですがこの順番に検査はしません。検査順は通常以下の順になります。

遠方 #7A⇒#8⇒#12A⇒#11⇒#9,#10

近方#13B⇒GradientAC/A⇒#14A⇒#14B⇒#17A,B⇒#16A,B⇒#21⇒#20⇒ #19                 ↑#15A ↑#15B ↑#18 ↑#21M

 21項目の検査を、常におこなうのは無理もあり、又、必要もありません。この中から必要な検査をピックアップしておこなえることが大切です。

 ここからは、21項目検査の分析の仕方について、記しておきます。

 主に知られている最も基本的なものとして、グラフ分析、モーガン分析、OEP分析があります。このうち、OEP分析は視科学として視機能をとらえていくうえでは大切な分析方法ですが、あまりに複雑で大学の研究室向きといえます。ザウルスなどのポケットコンピューターを使えば簡単ですが...。

 ここではより実践的なモーガン分析とグラフ分析をとらえていきます。

 グラフ分析については、眼科書を見ると相対調節と相対輻輳という形でグラフだけは記載してますが、何を基に作り上げるかは全く書いてありません。(ORT(視機能訓練士)の仕事にしているかもしれませんが...)このグラフに21項目検査で得たデータを入力していきます。ただし、完全なグラフ化をするよりも、水平線上にマス目を作り、近方と遠方と分けて書いたほうが簡単で実用的かもしれません。ちなみに私はそうしてます。

 このようにグラフにすると融像域と眼位をつかみやすく、P処方の必要なときは判断しやすくなります。しかし、当初のグラフ分析をする場合は、完全なグラフを作りその中で斜位線(fhoria lain)の傾きと融像域によって、輻輳不全などといったタイプを見分けますので、簡易法ではだめですが...。

 モーガン分析についてですが、これは最も現場において使われる方法で近方の視機能データのみを使用します。その理由は調節と輻輳といった機能を最もバランスよく使わなくてはいけないのが、近方視だからという理由です。

 近方のテストを以下のように、A,B,Cと三つにグループ分けをして、モーガンの基準値とA,Bの二つを比較します。そして、A,BのどちらがHigh、Lowを調べます。これによって、調節機能低下なのか、輻輳機能低下なのかを調べます。

Aグループ:#17A,#17B,#20,#19

Bグループ:#16A,#16B,#21,#14A,#14B

Cグループ:Phoria,Gradient AC/A

<モーガンの基準値>

#13B :3Exo±3    Gradient AC/A :4Exo±1

#14A :+1.0±0.25   #14B :+0.5±0.25

#16A :17±3      #16B :21±3

#17A :13±2 #17B :21±2

#19 :年齢による調節力

#20 :-2.37±0.62 #21 :+2.0±0.25

 このモーガンの基準値の上限よりも大きい値はHigh(H)とチェックし、同様に下限よりも小さい場合Low(L)とチェックする。分離値と回復値を測定するテスト項目については、その一方が正常でなければチェックする。

 <判定>

1)グループA又は Bがはっきりと(H)(L)と判別がつかなかった場合、そのケースは近方で視機能問題を有しない単純な屈折異常のケースと判定。

2)グループAが(H)そしてグループBが(L)と判断されれば、そのケースはConvergence fatigue(輻輳機能低下)を有すると判定し、A/Bと記録。

3)グループBが(H)でグループAが(L)と判断されたとき、そのケースはAccommodaitive fatigue(調節機能低下)を有すると判定し、B/Aと記録。

GradientAC/Aの扱いは、調節と輻輳の相互関係が多いか少ないかを示すものとして判断。小さければ相互関係は少なく、大きければ相互関係も大きい。

<分析後の視機能矯正>

B/A Accommodative Fatigue 調節機能低下

 基本的な対処法は調節システムへの負担を緩和することである。低下したAグループのテスト値は、BOプリズム又はプラスレンズ処方、又はVTによって変えられるが、Bグループのテスト値にあまり影響を与えない程度の近方プラスレンズ処方が、最も簡単におこなえる。この場合、遠方でも装用可能かどうかを以下を基に調べなくてはならない。

1)主訴の原因

2)遠方視力低下に対する患者の許容力

3)個々の患者の装用条件:装用時間、処方メガネの使用目的

 常用が必要にもかかわらず遠方で装用できない場合は分けて使用又はバイフォーカル処方が必要になる。

 遠方でのプラスレンズ処方の可能性を調べる以外に、プラスレンズ処方が患者の輻輳の習慣をなるべく妨げないように注意しなくてはいけない。その点を確認するためにGradientAC/Aが使われ、これ以外では#13B, #16,#17のテスト値がプラスレンズ処方による輻輳の変化で違和感などが生じることを示唆しているならば、プラスレンズ処方量を減らすか、実性融像性輻輳を強化するためVTを処方する必要がある。

 プラス加入度の目安は、#5,#14A,#14Bの実測値と期待値の上限との差が目安となります。

Convergence Fatigue 輻輳機能低下:A/B

 輻輳機能低下のケースへの対処として、VT,プリズム処方,マイナスレンズ処方がある。これらの中でVTが最も使われる方法ですが、定期的来院の困難さ、日本においては適切な機関が極度に少ないこと、速やかな症状の一時的緩和が必要な場合、VT以外の方法が必要となります。その選択は主に患者の斜位状態とGradientによって決める。Gradientが低い場合はプリズムBI処方が効果的です。しかし、眼位がほぼ正位で輻輳力が低い場合はプリズムBI処方はあまり勧められない。逆にGradientが高い場合、マイナスレンズ処方の度数を装用することによって生じる調節性輻輳によって弱い輻輳力を補うことが可能です。そのために、むしろマイナス処方が行われます。このような処方を可能にするには#5,#14Aでの調節ラグが低いことが必要です。

<プリズム処方の計算>

 あくまでも目安ではありますが、「シェアードの基準」と「パーシバルの基準」が良く知られています。どちらの方式を選択するかは、患者のデータによります。シェアードではP処方が必要無しであっても、パーシバルではP処方の適用範囲であったりすることもありますから、患者の主訴を良く把握して考えていかなくてはいけません。また現在、アメリカでは視機能の状態を把握するための判断基準として用いられるようです。

シェアードの基準

 「正常な両眼視を維持するためには、輻輳余力が斜位の2倍の量以上があればよい」とするものです。つまりこれに至らない場合、P処方または球面処方を考えます。

△=(2P-R)/3 P=斜位量 R=輻輳余力:exoの場合#16Aの値、esoの場合#17Aの値

S=△/(AC/A)  S=球面処方量

プリズム処方を選ぶか、球面処方をしていくかは、患者の環境などによっても違います。モーガン分析なども参考にすると良いでしょう。

<パーシバルの基準>

 最も大きな特徴は、眼位は全く考慮に入れてないことにあります。パーシバルの考え方は「全相対輻輳幅の中央1/3の間をドンダーズ線が通過するのが、正常な両眼単一視の条件」と位置づけています。つまり、輻輳の大きいほうを(L)とし、小さいほうを(S)と表示し、(L)≦(2S)の場合はパーシバルでは基準を満たしており、特に処置は必要ないが、そうでない場合は以下の式によって、P処方又は球面処方を考える。

△=(L-2S)/3

S=△/(AC/A)

*シェアードの基準とパーシバルの基準の比較については、「外斜位タイプの水平眼筋バランスに関する問題については、シェアードがより効果的であり、内斜位に関する水平眼筋バランスでは、パーシバルの方がより効果的。ただ、総合的に2つの基準に対して、診断上の正確度及び治療効果を比べてみると、シェアードの基準の方が安定している」とするO.D.もいる。私個人の考えとしては、融像域が狭くVTもできない場合については、狭い融像域を有効に活用するためには、パーシバルの基準が望ましいように思います。ただし、シェアードの基準をぎりぎりでクリアするような大きな内斜位(或は外斜位)がある場合、パーシバルにおいてB.IN(或はB.Out)プリズムが必要でも、それはふさわしくなく球面処方として遠方用と近方用に分けて使うか、遠近両用をすすめることになる。このようにシェアードの基準を脅かすほどの眼位でなくとも、外斜位でB.Out、内斜位でB.In処方をおこなう場合、計算上ででた数値よりも低い値から試し、適応の見込みがない場合は球面処方と合わせて考えるほうが良いのではと思います。

<赤レンズテスト>
片眼に赤レンズをつけて、点光源を見せます。赤レンズを入れるのは、どちらでもかまいませんが習慣的に、右眼に入れることが多いようです。
自覚において、複視の訴えが無くなった(交互カバーの後)最小の度数を、目安とする。

<Saladin 1:1 rule>
実際にアメリカで使われるテクニックです。内斜位のみに有効なのですが、「#17の回復値が#13bの内斜位の値より大きいのが理想」というもので「回復値と内斜位の値が等しくなるプリズム量を処方する」ことになります。

例えば、

#13b:6eso phoria, #17(recovery):3 のとき、
3△B.Oを付与すると
#13b:3eso phoria, #17(recovery):6
1.5△B.Oを付与すると
#13b:4.5eso phoria, #17(recovery):4.5
となります。
よって、この場合は1.5△B.Oを処方するということになります。

<Mid PRA/NRA >
+レンズ処方につかわれるもので、各々の回復値が使用されます。PRA<NRAのときに症状が発生するため、PRA=NRAの状況をつくるというものです。

例えば#7aがPLANOで、PRA: -2.00/-1.75, NRA: +2.75/+2.50 のとき(PRA<NRA)PRAとNRAの回復値が等しくなるのは

(2.50-1.75)/2= 0.375
すなわち+0.375を付加したときになるわけで、この場合は+0.50の処方になります。
逆にPRA>NRAになってしまいますが、この程度なら大丈夫ということです。

いずれの方法でも、プリズムアダプテーションテスト(早い話、装用テスト。仮枠テスト後に、もう一度仮枠のまま眼位を確認して、装用プリズムが吸収されていなければいい)をして、問題なければ、処方となります。

その他のテストとして、±2.00のフリッパーテストがあります。
これは結構便利で、単眼のサイクルと両眼のサイクルを比べると、一般的には調節に問題なくて、両眼視に問題がある場合は、単眼サイクル数が正常なのに、両眼サイクル数が優位に激減します。